2026年3月5日木曜日

信長の棺  加藤廣

 ミステリー歴史小説とはこのような小説であろう。信長の遺体が本能寺にないのは何故か。遺骨は何処に消えたかをミステリー風に、巧く書き上げた。おそらく、本能寺に抜け穴があり、そこから逃れたと推測したが、その推測がひっくり返るような仕掛けを施している。逃げ道の先は阿弥陀寺で、阿弥陀寺が入口ではなく本能寺が入口である。信長は抜け道を逃げて来るとき壁で遮られてそこでで落命した。

欠点は薀蓄が多すぎてスムースな読書を妨げている。また、横道に次々と入って行くことである。特に最後の権兵衛と牛一の対話は長すぎる。

これは、四分の一ぐらいの中編で事足りる内容であるが、長く引き伸ばし過ぎである。

歴史知識が山ほどある著者で、その日本語の語彙力には感服した。

2026年2月25日水曜日

運搬屋は安ガソリンで走る “Autogas Ferryman

 

運搬屋は安ガソリンで走る “Autogas Ferryman

 運搬屋は安ガソリンで走る

 Champ Wongsatayanont (タイ人の作家)から学んだこと

1.短編の始まりは些細な出来事が起こるが、この出来事がラストで重要な解決の糸口となる。

2.導入

日常生活のありきたりの光景だが、幽霊を運ぶという特殊装置が施してあり、読者を巻き込む

展開

大混乱、複雑怪奇、大災害、解決の糸口がない。収拾がつかない

    結末

  ラストシーンですべてうまく片付き、最後は穏やかなムードで終わる

3.最後の一文が効いている「で、母親が消え去る」

4.最後の一文の前の段落が微笑ましくほっとさせる。

「母の幽霊がにっこり笑う。あたかも算数のテストで好い点数を取った時に見たスマイルだ。あの日、母は僕のことを誇りに思ってくれた。


“Autogas Ferryman”