ミステリー歴史小説とはこのような小説であろう。信長の遺体が本能寺にないのは何故か。遺骨は何処に消えたかをミステリー風に、巧く書き上げた。おそらく、本能寺に抜け穴があり、そこから逃れたと推測したが、その推測がひっくり返るような仕掛けを施している。逃げ道の先は阿弥陀寺で、阿弥陀寺が入口ではなく本能寺が入口である。信長は抜け道を逃げて来るとき壁で遮られてそこでで落命した。
欠点は薀蓄が多すぎてスムースな読書を妨げている。また、横道に次々と入って行くことである。特に最後の権兵衛と牛一の対話は長すぎる。
これは、四分の一ぐらいの中編で事足りる内容であるが、長く引き伸ばし過ぎである。
歴史知識が山ほどある著者で、その日本語の語彙力には感服した。