古代中国の盗掘者の話。
時代考証をしていない言葉 第一章までに現れるもの
稼業、放棄、体感、野心家、盗掘、解放、保証、真逆、高級住宅街、人為的など切りがない。
2009年10月から私が読んだ本の中の主だったものの読書感想文です。ご意見ご感想をください。
軽い気持ちで読める長編。先日、第一章を、本日、残りを全部読んだ。江戸の尾張藩の下屋敷の外山壮に公方様(徳川家斉)が休憩に来るため、主人公の庭師甚平が大活躍する。屋敷奉行の弾蔵は気を揉む小心者で、甚平との対比が面白い。
外山壮を愉快な公園に仕上げるため、作者はいろいろ考えだすが、言って見れば子供騙しのような話。滝の水量が変わる仕組み、お化け屋敷で鬼が現れる。岩戸の扉が自動で開く、小田原に似せた町屋敷など、エンタメ庭園である。
滝のところで大きな仕掛けがあるかと思ったが、何もなく巧く滝が落下した。家斉は愉快に思ったらしいが、その思いが読者に伝わらない。一番の山が、山になっていない。最後の場面で亡霊や狐が出るのは話を混乱させるだけ。著者は読者サービスのつもりで付加えたか。呑助の権之助も死んでしまう。どのように滝の水が落ちるか分からなかっかった。
最後に噴水の話で、今後の展開を仄めかせている処は良かった。
江戸時代に使われていない言葉、歴史考証をしていない言葉が一杯あった。どれも明治の頃の造語であるのに:
寂寥感 現在地、危機一髪、実物大、却下、設計図、根本的、脳裏、展開、認識など。
話が現代語で書かれているので江戸時代の雰囲気が出ていない。わかさぎ先生の指導を受けているのだろうか。
時代物で推理小説仕上げ。五編の短編がそれぞれ独立した推理小説で、どれも牢に入っている黒田官兵衛が謎を解くヒントを城主荒木村重に知らしめる。
第一章 雪夜行燈の、からくりはどこか別の小説で読んだ気がする。庭に行燈があり、それが使われたのではないかと予想し、それが当たったからである。
第二章は犯人が村重であったとは読者をたばかっておる。
第三章は巧く読者を最後まで引っ張っていく。
四章は途中までしか読んでいない。
終章では最後の最後に官兵衛の10カ月にわたる奸計の秘密が解き明かされ、死んだと思っていた松壽丸(後の長政)に会う場面はこの小説のどんでん返しだ。
作家は現代ものを多数書いているが、時代物はこれが初めてかと思われる。それにしても時代背景や、言葉遣いが武士らしく、現代ものの匂いが全くしない。何処で時代物の書き方を身に着けたのであろう