2026年4月17日金曜日

「東方見聞録 1」マルコポーロ 平凡社

13世紀、ヴェニスから大都(北京)に到る広大な地域を国毎に、文化、習慣、生活、物産、貨幣、食事、風俗について詳述している。

驚くのはクビライカン(フビライカン)の権力の強大さである。彼が酒の盃を手に取る毎に、楽隊が音楽を奏で、家臣が跪き、カンが盃を飲み干すと、家臣が姿勢を正すとか。美女を500人集め、基準に合致しているかを担当官に判定させ、30人を選ぶ。選ばれた美人を家臣の妻と同衾させ、人品を評価させる。合格した娘は六人一組で、三日三晩、カンに侍らせ、交替させたとか。

ある地方では処女は結婚できないので、旅人に娘を交接させ、一人前の女として嫁せたとか。キリスト教、イスラム教、道教、偶像崇拝教(釈迦)の話とか、カンが家臣や兄弟と如何にして戦い滅ぼしたかとかが記述されている。

驚くことばかり多し。

 

2026年4月16日木曜日

虫めでる姫君  黄港佑

ミステリーもの。以下ネタバレ。大納言の姫が毛虫を集めているが、その死骸をどう処置しているかが分からない。結局、骸を姫が食べていたと最後のページで分かる。

悍ましい結末。読者は考えつかない。言葉遣いも平安時代のような雰囲気を醸し出し、40年経った後の主人公が姫に会いに行き、真相が分かるという設定も面白い。

後味が悪い。毛虫を長年食べ続けた姫は火葬されるが、主人公は、その骨を食べる。最後の一文は「消えない苦みが、ざらりと舌の上に残った」。同じように、ざらりとした、歪なエンディングである。無理に大納言時代に合わせようとする、持って回ったような表現が多い。

堤中納言物語『虫めでる姫君』を題材にしている。作者の応用力に関心した。

京都短編ミステリ―大賞授賞作品 原稿用紙88枚