2020年11月25日水曜日

The Hitch-Hikers by Eudora Welty

This is a difficult story because there are a lot of sentences which have deep psychological meaning.

The protagonist, Harris, picks up two hitch-hikers. While he is away from his car, one of them, a guitar player, is killed by the other named Sobby. Sobby says, “It’s his [guitarist] notion to run off with the car.”

Both men are lonely; the guitarist is talkative and the other is silent, who confesses, “He was uppity, though. He bragged. He carried a guitar around.”

That seems to be the reason he kills him.

Harris identifies himself with them; he was also alienated with the town’s people. He does not belong to their community. He has no particular destination to go to.

This is not a moving story, but a kind of sad one. It depicts loneliness of a man.


2020年11月12日木曜日

風神と雷神 原田マハ

 奇想天外な話を上下二巻の物語にした。発想の奇抜さに脱帽。

しかし、内容がお粗末で、全編、著者の頭の中で想像したことをそのまま書き付けたような文章と展開で、嘘話の羅列で、リアリティーがない。

ローマ法王との謁見もあっけなく終わる。著者は読者を感動させようとしてか、登場人物が涙を流す場面を多用している。全然感動しないのに、白けてしまう。航海中も過去を振り返るエピソードが多く、何度も繰り返されるから飽きる。登場人物がよく病気になる。神父、派遣される少年、はたまた、主人公の俵屋宗達も病気になる。そうでもしなければ、話が続かないないのか。

渡航先での行事も空想の域を出ないで、教会とか晩餐会とか舞踏会とか貴族とかの謁見とか、ありきたりのことが書かれ、宗達が信者でないことのひがみとか、ラテン語やイタリア語の勉強とかが書かれ、その現地の色合いが出ていない。読者を引っ張っていく力がない。

宣伝帯に書いてある「俵屋宗達VSカラヴァッジョ」の対面も喧嘩から始まり、カラバッジョの生い立ちが作り話で語られ「最後の晩餐」の絵の前で会うとかがあり、ありきたりのエピソードで、特に、絵師X絵師の感動的出会いではない。読者を馬鹿にしている。

話の根幹に無理があるため、無理やりこじつけて書いたように思える。とにかく水増しして、水で薄めたような話だ。

上下二巻の長編で、時間をかけて読んだが、裏切られたようで、つまらなかった。


2020年11月8日日曜日

銀漢の賦 葉室麟

登場人物が30人以上で、話が展開していく。主人公は松浦将監(小弥太)と日下部源五。二人の少年時代から老いるまでの友情を克明に描いている。

テーマが分かりにくい。将監は元家老の九鬼夕斎を、父と母の仇として討ち取る話だと思ったが、仇討ちを果たした後も話が延々んと続く。

将監と源五の心の内が丁寧に描かれている。どちらかの視点に絞らず、二本立てで突き進む。こういう手法もあるのか。

剣劇の場面が豊富にあるが、神道流剣術を30年ほどやっている私としては、分りにくい描写があった。

もう一度読む気はしないが、もし読むなら人物相関図をきちんと書いて読まないと、誰が誰だかか分かりにくくなる。

情景描写の筆使いはいまいち。

エピソードが入り組み過ぎで話が分かりにくい。これぐらいややこしい話を書かなくては、松本清張賞は取れないのか?

2020年10月18日日曜日

一朝の夢 梶よう子

宗鑑(実は、井伊直弼)と言う風流人が登場し、朝顔の栽培に没頭する主人公・興三郎と朝顔談議で懇意になる。

里恵や村上やら鈴やなどを登場させ、水戸藩と彦根藩、安政の大獄の時代背景を巧みに取り込んで物語を展開する技は見上げたものだ。里恵や村上が死ぬ辺りから、話はどんどん進展していき、クライマックスに向かって突き進む。最後は直弼の暗殺、その後、興三郎の黄色の大輪の朝顔が咲く。これぞ松本清張賞受賞作品だ。

著者・梶よう子はどのようにしてここまで巧く書けるようになったのか。

情景描写、人物の動き、表情など描写も見事で学ぶところが多い。

2020年10月14日水曜日

The School of Salamanca

 

This is an Italian story.  It is a pure entertainment story. It develops quickly to the end with a lot of fun. The funniest scenes are when the son and his Master change into various things, such as wind, a pigeon, horse, an old man, a conger, an eel, a dove, a falcon, a ring, a cock, a doctor, and a fox. The phrases such as “Conger I am, and a ring will I become,” or “Doctor I am, and a cock will I become” are spells and are used effectively and swiftly enough for the reader to enjoy the changes.

In the end the son (the fox) eats the cock (Master). And the princess and the son marry. Happy end.

 

2020年10月8日木曜日

一枚摺屋 城野隆(じょうのたかし)

 文章がこなれており巧い。会話や情景描写がいい。また、幕末の目まぐるしい世情をうまく背景に取り入れている。魅力ある女を出しつつ、仇の情報を小出しにしていく手腕もいい。ただ、途中で、読むのに飽きてくることがある。同じパターンの繰り返し(記事を書く、ばらまく、追いかけられる、うまく逃げる、記事を書く……)がある。

この小説は彦馬が死んで「ええじゃないか」運動で終わりになるが、エンディングの盛り上がりに欠ける。感動もない。なぜか。それは、文太郎が仇の里村を捕らえるが放免するという場面がすでにあり、話の決着がついてしまっているからだ。読者は、冒頭で文太郎の父親がむごたらしい殺され方をして、その仇を討つという釣りに牽引されてきたが、その釣り糸がここで切れてしまう。残りの部分は単にお涙頂戴の付け足しに過ぎなくなる。


2020年10月3日土曜日

マルガリータ 村木嵐

 松本清張文学賞受賞作だけある。最後の50ページぐらいは、それまでの250ページの集大成としてすべての秘密が解き明かされるように仕掛けてある。珠が何もわからぬ女に描かれているのも意図があってのことだ。

始め150ページぐらいは何永んだか分らぬままただ筋を追って読んでいたが、後半になってうまくまとまっていく。

最後で分かる信長の策略、4人の天正遣欧少年の絆、バテレン禁止令と殉教と棄教などがかなりうまく書けている。

しかし、信長が毒を盛ったとか、千々石ミゲルがローマから、不具者ゆえに司教にさせないという話は作り話だと見え見え、加藤清正が知恵を授けるがその裏の心が描かれていない。伊奈姫がまるで欠点がないような観音様のようで、人間らしくない。天草四郎がミゲルと伊奈姫の子であるというのはでっち上げで、これも余分。

涙を流すという表現が多すぎる。

作り話だなあと言うあと味があり、リアリティがない。