2026年7月30日木曜日

吉田松陰 山岡荘八

全二巻を読み終えた。この小説は、通常の歴史小説と大いに違う。通常、主人公(松陰)の頭の中で考えていることは、しばしば文で描写されるが、この小説は、松陰の考えや考えの根本思想が何ページにもわたって描かれている。その哲学を読むだけで、松陰がどういう人物であったかが、よく解る。松陰は、尊王攘夷の大権現と言ってもいい。日本国は天皇を根源として成り立っており、天皇を蔑ろにする存在は悪である。親に孝行する。城主に従うのも大事であるが、一番大事なのは天皇を犯さぬという思想である。10歳かそこらで、孟子の講義を大人に対してできる天才的頭脳の持ち主である。松陰の周りの者を感化しないではおかない。牢に入れば、囚人や看守の心の拠り所となり、死に際しても、狼狽えずに死を日本国のために役立てる。長州に木戸孝允、高杉晋作、山形有朋、伊藤博文などの偉人が出るが、松陰は彼らの頭を動かさずにはおかなかった。

山岡荘八は、恐らく松陰の書いた一次資料を読みこなし、自分の血と肉として、それを読者に伝えている。到底、私のできぬ技である。

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