2011年10月23日日曜日

辻原登 「光線の感じ」

たわいもないユーモア小説。最後で笑わせる。歯の治療とブラインドから見える自動車教習所の風景と預金横領の話がうまくかみ合っている。
文章はごつごつして読みにくい。歯医者の様子が詳しすぎる。読者はそこまで書かなくてもよくわかっている。

高樹のぶ子 「月夜」

文章がとても上手い。流れるよう。よどみがない。特に比喩表現が的確。水にまつわる話でこれだけのことが書けるのは才能だろう。下痢と堕胎と月におぼれるのを助けてもらう三つの話を初めの二つは重く、最後で軽く仕上げているのも計算づ。