2022年4月27日水曜日

"The Black Cat" & "Tall-tale Heart" by Edgar Allan Poe

"The Black Cat" and "Tall-tale Heart"  

Both stories resemble with each other. Both begin with the satement that the narrator is not mad; Both kill a woman (or an old man); conceal the corpus in a wall (or under the planks). The policemen come and investigate the room throughly and think that the narrator is not the criminal; but at the very last moment, the narrator reveals that he himself is the criminal by knocking the wall (or saying, "Tear up the planks!").  

Both stories develop well, increase tention skillfully driving the reader to turn the pages one after another till the end. They are both horrible, cruel, and full of suspense. The reader is instantaneously abosorbed in the story and cannot stop reading. 

They are self-destruction stories.

2022年4月23日土曜日

炯眼に候  木下昌輝

 織田信長にまつわる7編の短編集。一話が80ページぐらいか。どの話も奇想天外で面白く造られている(信長の首が力士の腹に隠されていた。鉄甲船が沈められ、その上に別の鉄甲船を乗せる。天気を確実に予言する男を家来にする。鉄砲の弾が信長がつけていた十字架にあたる、など)。しかし、よく考えればどれも現実離れして、何か変だ。子供だましのような感じさえする。突飛すぎるからだが、これが売りであり、同時に瑕である。したがって、どれもフィクションの匂いがプンプンして作意の跡があちこちにみられる。工夫に工夫を重ねて作られたが、こね回して作ったことが見え見え。人工的でなく、もう少し自然体で描けないのか。木下氏は「オール読物新人賞」受賞者。「宇喜田の捨て嫁」を読みたい。


2022年4月22日金曜日

金閣炎上 水上勉

 ノンフィクション形式の小説。水上氏が事細かに最大限調べつくして金閣寺を燃やした養賢のことを著している。氏の執念を感ずる。

金閣寺を燃やした養賢は極悪犯のような扱いだが、この本を読むと、いかに哀れな青年(当時21歳)であったがが分かる。以下「金閣炎上」から抜粋。

久恒秀治氏(金閣寺庭園修理担当の発言)「……切羽詰まった彼(養賢)の心情が理解できる。(略)文化財を抱えた京都の寺院が『金閣炎上』をただの犯罪として見ないで、少年(養賢)が犯罪を犯してまで乱打した仏教界への警鐘を謙虚に受け取ってもらいたい。観光、観光と、ただそれのみに明け暮れする京都の寺院は、声の無い少年の抗議に深く心耳を傾け、慚愧し、宗教機関としての本来の面目を取り戻し、道場としての姿勢に立ち戻ることを願うのみである」p. 264

金閣寺住職・慈海和尚は当時の金で年間500円もの収益があった。現在の貨幣価値にすると五千万から一億円ほどか(松岡の感想)。

養徳寺住職・大量師(金閣寺が焼ける前夜、養賢と囲碁を打っていた)「わしはただ、あの子(養賢)が死にたかった気持ちが……いま透けるようにわかるんですよ」

水上「というと、それは金閣寺への反感からですか」

大量師「勿論、あの和尚(慈海)では反感がありましょう。ケチン坊で、自分は仕出し屋から肴を取って酒を呑んでおって、小僧ら(養賢たち)には小遣い銭もろくにわたさん人でしたから、反感は当然でしょう。(略)それと、養賢の場合は、やっぱり成生(なりう:若狭湾の半島にある地名)の西徳寺和尚(養賢父)とおっ母さんとがうまくゆかなんんだ、ちっちゃい時のごたごたもあって、その上、どもりという障害ももっておったということと、重要なことは不治の肺結核がすすんどった、あの病気でお父さんの死ぬのを見ておりますでな……それが大きな理由ですよ。誰からもぜぜりいわれて阿呆にされて育ち、金閣寺へ行って、大学に入っても差別されれば生きようがなかった。また田舎にも戻りようがなかった……心身ともにゆきづまった時期で、あの子は死にたくなって火をつけたんですよ。(略)かわいそうな子でしたよ」p. 308