2020年1月30日木曜日

腸詰小僧 曽根圭介

「宝石ミステリー2」の中にあるミステリー小説12編読んだが、どれもこれれも、種を明かされて大して驚かなかった。アッと言わせるようなトリックが使われていない。調べてくうちに芋づる式に真相が分かってくるという仕掛けで、逆に言えば、真相を小出しに出していく手法で、誰でも書けそうなミステリーだ。
その点、「腸詰小僧」は秀逸。芋づる式になっていなく、二つのストーリーが最後に合体するようにできている。しかも、殺人犯は犯行直後自殺していて、誰もわからない。犯行に導いた主人公はときどき後味の悪さを一生背負っていくだろうが、そのうちに薄れていくだろう。弟夫婦を救ったし。
ただ、不満なのは、ネタバレ!!!
「同封したのはボクの作ったオリジナルソーセージです」で小僧といい、ボクといい、インチキではないか。

2020年1月27日月曜日

夜と霧 ヴィクトール・フランクル

ナチスドイツによるユダヤ人収容所に収容されたある心理学者が書いた、収容所生活で見たこと考えたことが具体的に書かれている。衣食住が極限状態の上に,厳寒のなか集団労働に駆り出される毎日が続く。いつ解放されるともしれずに、ただただ一日を生き延びる、ガス室に送り込まれずに、重労働につく運の良さ。一切れのパンをどう食べるか、いっぺんに食べるか、翌朝まで取っておくか、最悪の状態の中で、どういう人が生き延び、どういう人が、絶望して自暴自棄になるか、詳しく書かれている。
人生観が変わるくらい、衝撃が強い本だ。この年になるまで、こんなすごい本があることを知らなかった。今の贅沢三昧の日本人は襟を正して読むべきだ。