話の造りが上手い。結末を先に考え、後から前の章立てを考えたよう。五章それぞれの語り口が、その人物になり切って、流れるように喋る。文章が上手い。次が読みたくなる。終章で、総一郎が登場するが、面食らった。
偽物の首を本物と入れ替えるが、早々と察しがついた。その通りの結末になっていた。
女性作家であるからか、水も漏らさぬように、全ての漏れ口を塞ぐように話を展開させている。執筆中、ありとあらゆる可能性を考え、対策を文字にしたのだろう。
偽の首が小説のように上手く入れ替わるか、見破られないか、と思ったが、著者は用意周到に丁寧に穴を塞いでいた。あそこまで書かれれば、まあOKという事だろう。
話しの構成、落ち、我天下一品。推理小説でもない、読者を嵌めこむのに長けた小説。上手くできていた。小道具や、殺陣師、瓦版屋など、それぞれの職業を上手く使った。木挽きとは首を切り取ることに掛けて題名にしたか。