2011年7月17日日曜日

「癌だましい」 山内令南

 第112回文學界新人賞受賞作。19581219日生まれ、大垣出身(私と同郷)。享年52(受賞後1カ月で逝去)。
 壮絶な食道癌との闘いを冷徹克明にユーモアも交え、第三者の視点(麻美)から描いている。始めの数ページを読むだけで吐き気がしてくるが、結末がどうなるかを知りたくてどんどん読み進む。読者を否応なしに最後まで引っ張って行く筆力がある。筆者の癌と真正面から向き合う姿勢が貫かれている。食への執念がこれでもかこれでもかと描き、強烈なインパクトを与える。「食だましい」がぴったりの題名と思う。
文芸とは文字の芸術だ。文字が人間の心に感動を与える点で、「癌だましい」は秀逸だ。
ただ、あなたは食道癌ですと医者から診断されて、嬉しく思う人間がいるのだろうか
   ご冥福を祈ります

0 件のコメント:

コメントを投稿