2023年8月13日日曜日

「ラジオビジネス英語」 ”NHK Radio Business English”

 ラジオビジネス英語

「NHKラジオビジネス英語」のThe Writer's Workshopで、最優秀賞を受賞した。これまでに最優秀賞は、2011,2014,2018年と、三回受賞していたが、久しぶりの受賞である。この一年間ぐらいは、佳作さえ入賞できず、毎回、「ああ、まただめだ」としょげていた。今回も、せめて佳作をと思って、テキストを捲ると、な、なんと、最優秀賞に名前が載っていた。素晴らしい。没、また没、またまた没の連続で、テキスト代550円が、もったいないと思う毎月であった。

この三カ月ぐらいは、日本語の課題文に引きずられない英文を心掛けていた。また、難しい、馴染みのない表現は避け、英語らしい英文を描くように心がけていた。訳し落としや、日本語の意味の取り違えなどに細心の注意を払ってきた。その成果が出たのかも知れない。

今後とも最優秀賞を獲るべく、日英の語学力を磨いていきたい。

2023年8月10日木曜日

弧愁の岸 杉本苑子

 宝暦治水を扱った大作を読み終えた。

同じ題材を扱った「暴れ川」(原稿用紙60枚)を私は数年前に著し、岐阜県文芸祭賞を受賞しているから、木曽、長良、伊尾の三河川の治水については詳しく知っているつもりであった。しかし、この大作を読み、驚いた。

歴史的事実を徹底的に調べ上げたことが伺える。特に平田靱負が30万両を如何に工面したか、大阪商人との駆け引き、薩摩藩の庶民に課した重税などが詳細が描かれている。恐らく、著者は薩摩藩史や岐阜県史、三重県史を紐解いたのであろう。

江戸幕府の仕打ちに、どう対応するか激しい論議も、くどいほど描かれている。幕府との戦いに完敗する悔しさと、美濃の農民を助ける奉仕の精神との葛藤が、藩士同士の論戦で描かれている。

また、村人や庄屋や郡役人の金儲け主義の汚さも抉り出している。

工事の困難さも詳しい。水の恐ろしさ、村人から町方工事人への切り替えをどう進めるか、靱負の遣り口も詳しい。

多くの犠牲者を出し、責任を取って一人、切腹する平田靱負が哀れである。

薩摩藩士の墓が桑名の海蔵寺(私の父の学友が住職であった。また私の妻の実家の菩提寺でもある)にあるが、大牧村本小屋から船で遺体を桑名にまず運んで、経をあげたのであろう。その後、伏見の菩提寺・大黒寺に埋葬されたのだろう。

どのように杉本苑子が書き上げたか知りたい。近いうちに治水神社に行き、霊に合掌したい。

「弧愁の岸」というタイトルの「弧愁」は「一人物思いに沈む」と言う意味。一人は靱負のことであろう。「岸」は遺体が揖斐川を下る時、左手に油島千間堤を見るが、その岸であろう。

住みなれし里も今さら名残にて 立ちぞわずらふ美濃の大牧 (靱負の遺文)