2010年2月24日水曜日
三島由紀夫 「切符」
話の作り方の巧さに感服した。
① 谷が仙一郎の妻を殺したことに関して何か反応を示すだろうと予想していたら、実は谷が死人であったと言うドンデン返しが読者をあっと驚かせる。
② 谷が死人である伏線が張ってある:
(1)仙一郎は、谷が二度立ちあがったように見えた。
(2)仙一郎は、瓢屋と本田カメさんの意見をまるきり逆に取ってしまうぐらい酒に酔ってしまっている。
③ お化け屋敷と言う場所の設定で何が出てもおかしくないように仕組んである。
④ 最後に切符が7枚あると言うのも納得できる話にしてあり、良い落ちになっている
⑤ タイトルの「切符」がいい。すっきり簡潔で、最後の落ちがしっかり効く。
泉鏡花と江戸川乱歩のような雰囲気がある作品だ。ただ、現代では映画「リング」など、生きていると思っていた主人公や囲りの登場人物が死人であったと言うパターンはよくあり、現代では別に驚くほどの作品とはならないだろう。
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