2012年12月23日日曜日

蛍の河


中国戦線中のある出来事を体験談としてではなく、小説として発表した。文体に無理がなく、凝った言い回しがないので、そのまま素直に読んでいける。 小隊長安野の性格描写(自分を頼りにしている、部下思い、このため古参兵に慕われる)、安野と自分との関係の描写が巧み。導入部分でなぜこの話を書くのかを説明しているため読者は納得して読み始められる。(ポーの「黒猫」の手法) 最後に擲弾筒が河の中から見つかり、ハッピーエンドになっていて、読者は救われる。 原稿用紙40枚ぐらいで直木賞をとっている。

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