春琴抄 谷崎潤一郎(1886-1965)79歳没 昭和8年発表
1.虚構を事実であったかのようなトリックを巧みに取り入れている。その巧みな仕掛けは:
出だしの墓の風景、虚構の「春琴伝」への言及と引用、語り手が取材した照女、春琴が作曲したという「春鶯囀」や「六の花」、天竜寺峩山和尚の言葉など
2.キャラクター作りの巧さ。佐助の献身的な奉仕の姿勢。春琴のわがまま、気がきつい気性、高慢さが一貫している
3.心理および情景描写が優れている。
4.大阪弁を巧みに取り入れて単調な文体に変化をつけている
5.プロットづくりの巧さ。起承転結が見事になされている。転は春琴の顔が醜くなりやがて佐助が目を潰すところ
6.わざとだが句読点がないので読みずらい。
7.浄瑠璃と鶯に関するのうんちくが長すぎる。
昭和の読者は事実に基づいた作品だと信じ込まされて読んだであろう
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