大変面白かった。
〇柳吉と蝶子の二人の関係はどうなるのかと言う思いにつられてどんどん読み進んだ。
登場人物、柳吉、蝶子、種吉、が手に取るように描かれている。特に柳吉の描写はうまい。どうしようもない放蕩男で、芸者遊びが抜けきらぬ男、かと言って単なる放蕩ではなく頭も切れて、働くときには働く。
蝶子はあんなどうしようもない柳吉に惚れ込んで仕事を転々と変え嫉妬や貧困に負けずに甲斐甲斐しく生きていく。蝶子には同情する。
最後の夫婦善哉を食べるところで終わるのもいい
〇文章が、大正時代の文体で書かれ、漢字が多い割には流れるようで読みやすい。大阪弁も文体を滑らかにしている。
〇短編もここまで徹底して人間観察をすると面白い作品ができる。読者に登場人物の人となりをほぼ完ぺきに伝える文章力が必須
〇粗筋的なところもあり、長編小説にしても面白く読んでいける
0 件のコメント:
コメントを投稿