2017年1月29日日曜日

水 佐多稲子

文章が抜群にうまい。出だし「幾代はそこにしゃがんでさっきから泣いていた」、終りの「さえぎるものがなくなって春の陽があたった」ともに素晴らしい。 読者を同情させる仕掛け(左足、母を温泉に連れて行く夢、5歳で父を亡くす、母の死、雇い主の非常)を出していく手際よさ。
最後で著者はなぜ水道の栓を閉める動作を書き入れたか。読者に違う視点を見させるためか(芭蕉の蛙の俳句)。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿