2017年9月15日金曜日

<孤愁の岸 杉本苑子

木曽川、長良川、揖斐川の三川分流の大工事を幕府から仰せつかった薩摩藩の家老、平田靭負総奉行と藩士の死闘と工事の完成に至る過程が描かれている。薩摩藩の財政逼迫する中70万両もの大金を捻出し、51人にのぼる自刃者をだし、 裏金や賄賂や、幕府のとことん薩摩藩を痛めつける政策を甘んじて受け、何ごとも耐え忍んで、ついには完成する。しかし、平田は犠牲者の魂を追って切腹する。刀を使わない幕府との負け戦であった。悲痛な話を歴史的事実に基づき、金の動きを捉えて見事な歴史物語に仕上げた。平田が自刃に至る描写がいまいち。
桑名の海蔵寺(住職の父が私の父は大垣中学の同窓生/女房の実家の墓もあり)に平田靭負と藩士の墓があり、たびたび訪れているが、いつもお参りしている。

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