涙なしには読めない。少年少女向きで分かりやすい日本語で書かれている。火が母と勝彦を取りまき、接近してくる様子が見事に描かれている。母は水を求めて、汗、乳、涙、血を出して勝彦をまもり死んで空に凧のように舞い上がり、勝彦も8月15日に天に昇る。途中の子守歌がいい。
2017年10月22日日曜日
骨餓身峠死人葛(ほねがみとうげほとけかずら) 野坂昭如
〇 着想(死人の肉体を肥やしにして葛が花を咲かせ、食べられる実をつける)をどんどん発展させ、これでもかという極限の状態に読者を引き込み、近親相姦、父が娘を犯す、母娘の愛撫、村人の老若男女分け隔てなく誰とでもセックスする考えられない状態になる。
〇 文章が簡潔で、余分な言葉がない。ダラダラしていなくて、連体形止め,名詞止めが目立つ。美文調。
〇エンタメとして読者を最後まで引きつけてはいるが、悪乗りしているような展開で、辟易する。
〇出だしの状況設定が長すぎてよく分からない。ただ、「水をひく工事の、つつがなく終えてやがてその竣工式。あらたなる水は、岩肌にうがたれた穴からやがてあふれ出る手はず」の部分が、小説の最後の部分「……急に水位がかわったから、ふわりとお互いの位置が変わって、(略)少しずつ浮上をはじめる、その先端に、たかをの姿があった」とうまく繋がっている。市長をはじめみんなが竣工式であふれ出る水を待っていると、たかをの死体がまず出てくることになる。みごとなエンディングになっている。
〇 文章が簡潔で、余分な言葉がない。ダラダラしていなくて、連体形止め,名詞止めが目立つ。美文調。
〇エンタメとして読者を最後まで引きつけてはいるが、悪乗りしているような展開で、辟易する。
〇出だしの状況設定が長すぎてよく分からない。ただ、「水をひく工事の、つつがなく終えてやがてその竣工式。あらたなる水は、岩肌にうがたれた穴からやがてあふれ出る手はず」の部分が、小説の最後の部分「……急に水位がかわったから、ふわりとお互いの位置が変わって、(略)少しずつ浮上をはじめる、その先端に、たかをの姿があった」とうまく繋がっている。市長をはじめみんなが竣工式であふれ出る水を待っていると、たかをの死体がまず出てくることになる。みごとなエンディングになっている。
2017年10月11日水曜日
The Itch by Don Delillo
This
is a unique story. I have never read such an unusual story. It is unusual
because the writer does not tell the name of the protagonist until the last
page. In the end, the reader knows that he is not a human being. It’s “the
living itch, man-shaped, Robert T. Waldron, thinking incoherently.”
The
theme of the story is itch, which dominates almost all the story except the
human-voice-like sound of urine. The itch probably signifies something
irritable, something unpleasant in the world, which the skin-doctor mentions
when she was asked what her itch was. The relation between he and Ana is not
clear. Maybe they love each other, but it is not mentioned clearly.
The whole story is not
direct, nor clear. It does not develop like it has a plot. The writer “develops”
the story at random. Sometimes he presents the scenes of the couple—he and Ana,
sometimes the scenes of he and the skin-doctor, and other times about the urine
sound, Zaum. It is “incoherent.”
The writer is successful
in making the reader irritated and itchy because of little plot and a lot of
indirectness. The ending is an unexpected surprise.
There should be some
philosophy behind the story, but it is obscure.
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