2018年1月27日土曜日

ノルウェイの森 村上春樹

 精神を病んでいる直子と快活な緑の二人の女性を好きになり、悶々としているワタナベは、直子の自殺(恐らく直子が身を引いた)により、女は緑一人に決まっていく。
  直子が自殺すると言う結末は読者に衝撃をあたえる。直子とワタナベの関係が淡々と退屈するぐらいなテンポで繰り広げられているからその分、最後に急展開するだけに衝撃は強い。読者はワタナベに感情移入しているから、直子の死は心を打つ。
 ワタナベの人間がいまいち分かりにくい。毒がない男だ。
 日記風の描写が延々と続くため途中で飽きてくる。しかしこの作品はエンタメでもなくドラマティックでもないので、辛抱して読むしかない。読者を釣っていく仕掛けがない。
 それにしても、セックスシーン(それも、どぎつい)が次から次々と出てくるが、村上は男女の話を書くときにはセックスシーン抜きでは書けないのだろうか。結局、直子との思い出も、緑との思い出も、せんじ詰めれば(レイコも含めて)セックスの思い出しかないではないか。
 レイコが第三者的な立場で登場するが、レイコは読者とワタナベの緩衝剤になっている。
 全体に真面目な話だ。 「海辺のカフカ」と大違いだ。

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