2020年11月12日木曜日

風神と雷神 原田マハ

 奇想天外な話を上下二巻の物語にした。発想の奇抜さに脱帽。

しかし、内容がお粗末で、全編、著者の頭の中で想像したことをそのまま書き付けたような文章と展開で、嘘話の羅列で、リアリティーがない。

ローマ法王との謁見もあっけなく終わる。著者は読者を感動させようとしてか、登場人物が涙を流す場面を多用している。全然感動しないのに、白けてしまう。航海中も過去を振り返るエピソードが多く、何度も繰り返されるから飽きる。登場人物がよく病気になる。神父、派遣される少年、はたまた、主人公の俵屋宗達も病気になる。そうでもしなければ、話が続かないないのか。

渡航先での行事も空想の域を出ないで、教会とか晩餐会とか舞踏会とか貴族とかの謁見とか、ありきたりのことが書かれ、宗達が信者でないことのひがみとか、ラテン語やイタリア語の勉強とかが書かれ、その現地の色合いが出ていない。読者を引っ張っていく力がない。

宣伝帯に書いてある「俵屋宗達VSカラヴァッジョ」の対面も喧嘩から始まり、カラバッジョの生い立ちが作り話で語られ「最後の晩餐」の絵の前で会うとかがあり、ありきたりのエピソードで、特に、絵師X絵師の感動的出会いではない。読者を馬鹿にしている。

話の根幹に無理があるため、無理やりこじつけて書いたように思える。とにかく水増しして、水で薄めたような話だ。

上下二巻の長編で、時間をかけて読んだが、裏切られたようで、つまらなかった。


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