2015年5月12日火曜日

檸檬 梶井基次郎

読者を言葉の魔法にかけるかと思われるぐらいの文筆力
1.肺尖を患い神経衰弱であるからか、短編を書くのに大きな出来事はいらない。ごく日常生活で発見したことを発想豊かに書き表せば素晴らしい作品となる。
2.物事の形容の仕方が非凡である。 a.果物屋で「何か華やかな美しい音楽のアレグロの流れが、ゴルゴン的なものを差し付けられて、あんな色彩やヴォリュウムに凝り固まったような果物 b.檸檬の匂いを嗅ぐと、「私の身体や顔には温かい血のほとばしりが昇ってきて何だか身内に元気が目覚めてくる」 c.実際あんな単純な冷覚や触覚や嗅覚や視覚が、ずっと昔からこればかり探していたのだと言いたくなるほどに私にしっくりした。
3.読者を引き込む力が抜群。特に「ある朝――」からは読者を引き込み、最後檸檬爆弾を置いて丸善をでるというあたり、感情移入をしてしまうし、ユーモアがある。
4.ところどころに出てくる、自問自答の文章が適切。「今日は一つ入ってみてやろう」「あ、そうだそうだ」「出ていこうかな、そうだ出て行こう」
 

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