2016年4月10日日曜日

狂人の手記 ディケンズ A MADMAN'S MANUSCRIPT

①狂人だということを主人公は隠しているがついに俺は狂人だとばらした時点で、読者はいつばれるかいつばれるかの不安が浄化されるという手法を取っている。

②ドラマチックな展開。主人公が狂人であったが、最後に妻が狂人となる。

③この短編は「ピックウィックペーパーズ」というディケンズの長編小説の11章に出てくる手記。主人公ピックウイックが精神科医の遺品から入手したもの。書いたのは精神病の牧師。先祖返りの不安から本当に狂人になったという話が、長編の中に組み込まれている。いわば劇中劇。

④主人公が妻の寝姿をじっと見つめるが、これはポーの「物言う心臓」の主人公が老人の寝姿をじっと見つめる場面とそっくり。調べてみたら、エドガーアランポーは熱烈にディケンズをほめていて、後世に残る作家だと言っている。おそらく「物言う心臓」は「狂人の手記」からヒントを得たのだろう。実際ディケンズはポーとアメリカで会っている。

④英文は落ち着いた堅い文体。

0 件のコメント:

コメントを投稿