西南の役の前線に出て武功をあげようとした17歳の少年隊長の話。西南の役の戦いの場面のエピソードが色々あるが、戦況についての説明が長く、途中で退屈してしまう。
江戸時代から明治に移り変わる激動期、西南戦争において武功を挙げんと意気揚々と東京から熊本まで出かけた、元剣道場の跡取りの志方錬一郎は、戦場で戦い方が、剣から銃に替ってしまい、やあやあ我こそはの戦が、射撃一発で瞬時に終わる戦いとなってしまった。武功を挙げるどころではない。17歳の遊撃隊長として西南戦争にはせ参じた錬一郎も、あれから60年たち、77歳になり、東京に出て勉強して、今では大阪の父の道場の後に、書院を経営し隠退する。この60年間に世の中がまるっきり変わり昔を懐かしく感傷に浸る錬一郎であった。
戦の場面が詳しく書かれているが、同じようなことばかりで、読んでいて飽きてしまう。戦地で酒を呑むとか女を買うとか賭博するとか、エピソードいろいろあるが、読むのがつまらなくなるところもあったが、最後の章で、なんとか挽回したよう。最後の感傷場面がなければ松本清張文学賞を受賞していなかったろう。
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