2010年1月24日日曜日

三浦哲郎 「みそっかす」

 食中毒による下痢で妻が病院に運ばれ、無事に回復するという、ごくありふれた家庭の事件を一つの短編にしている。最後に「みそっかす」「甘茶っ子」と言う概念を持ってきて話を締めくくり、この緊急事態をほのぼのとした少年時代の思い出に結び付け、てんやわんやの騒動が穏やかな雰囲気にすり替えている。読者は妻が大病かもしれないと言う緊張から解き放たれる結末になっている。  話し手には3人娘がいるが、その内次女と3女は同居しているが、長女は結婚して別居しているのかどうかが分かりにくい。 三浦哲郎 昭和6年~ 『忍ぶ川』で第44回(1960年下半期)芥川賞 1976年 『拳銃と十五の短編』で第29回野間文芸賞 1983年 『少年讃歌』で日本文学大賞 1985年 『白夜を旅する人々』で大佛次郎賞 1990年 「じねんじょ」で川端康成文学賞 1991年 『みちづれ』で伊藤整文学賞(小説部門)

0 件のコメント:

コメントを投稿