2017年11月26日日曜日

「斜陽」 太宰治

出だしから女性(かず子)の上品な言葉が延々と続き、まるで本当の女性が書いたかと思うぐらい、太宰は女性になりきっている。その文筆力に舌を巻く。
  主人公が直治とかず子の二人いて、焦点がぼける。 次に、かず子が上原に出す手紙に会話があったりして、ひとつの読物の文体になっていて、不自然。これは直治の遺書についてもいえる。遺書の中に短編小説のような会話が入るのは不自然。 話が段階を追って盛り上がっていかない。途中から直治の話になり、またかず子の話に戻る。
 読後感が、すっきりしなく不昇華である。 男と女のべたべたした関係を事細かに書いているが、文体が粘りっこく、しつこく、うるさい。太宰の虚弱性(坂口安吾)をそのまま表している。 男女間の悲哀を描いたのか???

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