西の人気男 「シング戯曲全集」
芥川龍之介が「鼠小僧次郎吉」を書いたが、彼はこの話を「西の人気男」を読んで着想を得て書いたそうだ。読むとなるほどと思った。
俺は父親を殺したと威張る男が村人から格好いい男ともてはやされ、若い女や婚約中の女性も彼をほめそやすが、殺したはずの父親が現れて、法螺であることがばれ、女や村人からさんざんな目に合う。
芥川の鼠小僧次郎吉も「俺はかの大盗賊だ」と法螺を言い放題で、宿の亭主や小僧たちは偽次郎吉をもてはやすが、その偽男の話をしていた男こそが本物の次郎吉であったのだ。
「シングの戯曲」からヒントを得て、時代と場所をすっかり変えて、エンタメとしてはよくできた話に仕立て直した芥川に敬意を表したい。
0 件のコメント:
コメントを投稿