2021年12月21日火曜日

青春戯画集 中島丈博

1981年のNHKの連続テレビ小説20回分の脚本集

張ったりで大胆な画家楳図と、人のいい画家弘継の葛藤を描く。

弘継が楳図のゴーストペインターに知らず知らずのうちになり、そのことが枷になり自分の絵が描けないようになる。楳図も弘継なしでは絵が描けなくなる。

弘継の育ての母親と生みの母親が同居し、弘継に嫁いできた勝子と、二人の画家から好かれる芸妓の染菊の葛藤も入れ込んで、読者をどんどん牽引していく。

楳図の死によって楳図の本心が明かされ、弘継も立ち直っていくところで終。

人間の葛藤が弘継、楳図、勝子、染菊さらに母親のはると八重が重なり合って展開していくプロットは、用意周到に中島は考えたと思われる。

横山大観とか三笠宮とかが登場するが、それはいいのか。

読みごたえがあった。大観の言葉、「経営ができる絵描きとして君(楳図)が必要だ」この時楳図は頂点に達するも、似せ絵に落款を押したことがばれ、一気に地獄に落ちる痛快悲劇。みごとな「転」。

endingも、まあ、あんなとこだろう。

読後感もいい。


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