552ページもある大作。さすが直木賞を取っただけある。特に、穴太衆の頭・飛田匡介(とびたきょうすけ)と国友衆の頭・国友彦九郎との対決が読みごたえがある。石垣を組む職人と鉄砲を造る職人との対決である。
最後の大津城での攻防はすごい迫力があり、読者をどんどん引き込んでいく。天守閣に大筒の弾が当たらないように高さ8メートル、幅30メートルの石垣を造り、ひっきりなしに飛んでくる弾の合間を縫って、崩れた石垣を命を張って修復する場面は圧巻である。
石垣の切り出し方、運搬法、積み方が詳細に述べられ、臨場感がある。石積職人の棟梁はあのように(甲の一、乙の二、丙の三など)石を瞬間的に見てどこにどう積むかわかるのだろうか。石垣に要石というものが存在するのだろうか。
玲次との関係がはっきりしないが、その他は文句ない出来で、久しぶりにいい作品を読んだ。
ちなみに今村氏は1984年生まれ、角川春樹小説賞、吉川英治文学賞、山田風太郎賞その他を受賞している。
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