2024年1月2日火曜日

「銀二貫」高田郁(たかだかおる)

 小説創作の典型的技法が用いられている。

目標

主人公は寒天丁稚の(松吉)の目標

〇小豆を万遍なく混ぜた寒天を作ること。

〇真帆と結婚すること。

店主(和吉)と番頭(善次郎)の目標

〇天満宮に銀二貫を寄付すること。

障害

1.      銀二貫を小説の出だしに仇打を買うために使い、無くなる

2.      真帆は左の顔が火傷をし、別人になる

3.      漉し餡を何度やっても寒天にうまく混ざらない

4.      江戸の火災がたびたび起こる

収束

1.      真帆の養母が無くなり、真帆は自由の身となる。かねてから相思相愛の松吉と結婚

2.      漉し餡でなく餡を自分で作り、寒天にうまく混ぜることができる。大繁盛

3.      金が儲かり天満宮に銀二貫を寄付する

 

収束が出来すぎるぐらい巧くできており、感動した。

台詞は全部大阪弁で、商売人の味がよく出ている。

銀二貫があちこちに登場する。(一本通っている)

応募作は新人賞を獲れなかったが最終選考まで残った。高田郁の文才は大したものだ。応募作と改訂版は何処をどう直したか。

寒天製造過程を見ないで作品を仕上げた周到さに驚いた。

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