2011年4月5日火曜日

山本一力 「いっぽん桜」「萩ゆれて」「そこに、すいかずら」「「芒種のあさがお」

「いっぽん桜」
話の筋立てがいい。話を主人公に絞っているのがいい。井筒屋を退職させられた頭取の長兵衛の心の動きが見事に描かれている。井筒屋を去る心境、千束屋からの話と落胆、木村屋でのギクシャクした帳面つけと、木村屋になじんで行く様子が良く分かる。

「萩ゆれて」
読書のピントをどこに当てていいか、理解に苦しむ。兵庫が木刀で打ち負かされた復讐劇でもない、ロメオとジュリエットの様な恋愛(家というコンフリクトがある)でもない、ただなんとなく漁師の娘と結婚して、母が折れると言う話。ドラマ性がない。

「そこに、すいかずら」
カネに糸目をつけずに“日本一”の雛飾りを作る話。雛飾りは3000両、飾る部屋は40畳もある。話は雛飾りの豪華さをこれでもか、これでもかと読者を唸らせようとしている。話の結末が中途半端。なぜ、母の吉野と、父清兵衛は燃え盛る火の中に飛び込んだのかが、分からない。

「芒種のあさがお」
テーマがはっきりしない。コンフリクトがはっきりしない。(おなつX姑か、おなつX要助か)生まれてから26歳までのドラマが表面的で、深くえぐられていない。通りいっぺんの話。朝顔職人の職人芸を披露していない。

0 件のコメント:

コメントを投稿