2012年6月24日日曜日

善人はなかなかいないA GOOD MAN IS HARD TO FIND by Flannery O’Conner

この短編は隅から隅まで、用意周到にほぼ完璧に仕上げてある。まずMisfitは実はgrandmotherで、grandmotherがキリスト教を生半可に捉えている。これに対して<はみだしものMisfit>の方が真剣にキリスト教について考え抜いている。
Who is the real Misfit? It is the grandmother, who assumes that she is a pious Christian, but who actually pretends to be a lady, looks down upon a low-class people, does not admit her mistake about the roads, disdains a black child, and wants to marry a rich man. On the other hand, the Misfit is a good man, who thinks about the existence of Christ seriously, at least far more seriously than the grandmother. He says in the end, “She would of been a good woman….” as if he were a saint.

Misfitは、自分のしたことに対しての罰があまりにもひどい。父を殺していないのに父親殺しとして刑務所に入れられた。俺は割に合わない人間だ。やった悪が3であるのに、罰が10もある。その差の7の悪事を働かねば割に合わないということで悪事を働く。

最後のアンバランス人間の言葉She would have been a good woman, if it had been somebody there to shoot her every minute of her life.とはどういう意味か。たぶん「彼女みたいな鼻持ちならない奴は、殺されなければ自分がどういう人間かわからないよ」という意味。逆に言えば、死に直面して初めて人の仮面が剥がれるということ。

話では、おばあさんは信心深いキリスト教徒のように見えるが、おばあさんこそがはみ出しもの(社会に不釣合な人間、悪人と言ってもいい)人を見下している「私はladyよ」「お祈りしなさい」「あなたいいとこの生まれよね」と。Misfitは軍隊、葬儀屋、鉄道、農夫、離婚、竜巻に襲われ、袋叩きにあった女や焼け死ぬ男を見たことがあるようなありとあらゆる凄惨をなめた底辺の男だ。そんな男に「あなたいいとこの子だわね」というのは鼻持ちならない。偽善ババアを打ち殺すしかないのだ。

天気について同じ内容の文が二回も出てくる。Don’t see no sun but don’t see no cloud neither.とThere was not a cloud in the sky nor any sun.とあるのは著者が意図をもって書いていると思われる。おそらくSunは善人で、Cloud は悪人であろう。とすると世の中、善人も悪人もいなくて、境遇で悪人にも善人にもなるといっているのではないか。タイトルのA Good Man Is Hard to Find.も裏を返せば、A Bad Man is Hard to Find.ということだ。

「善人はなかなかいない」の翻訳の中の問題点
Of course,”he said, "they never shown me my papers. ① That's why I sign myself now. I said long ago,② you get you a signature and sign everything you do and keep a copy of it.

①誤:今、俺が<はみ出しもの>となのっているわけはそれだよ。  正:だから俺は今署名しているんだよ(悪事を働いてやったという記録を署名をして残す)

②誤:名のりをこしらえて、  正:署名の文字の形を考えて (誤訳のままだとつじつまが合わない。「……釣り合いがとれてるかどうかたしかめられる」とあるが、釣り合いが取れていないという結果が出たから「はみ出しもの」と名乗っているのであって、「名のり」をこしらえてから釣り合いを確かめるのは逆ではないか。
 

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