2017年7月9日日曜日

あるマドンナの肖像 テネシー・ウイリアムズ

悲哀を感ずる戯曲。ウイリアムズの作品には主人公の精神不安定を描いているものが多い(「欲望と言う名の電車」「熱いトタン屋根の猫」「ガラスの動物園」など)。ウイリアムズの姉ローズが精神病であり、それがモデルになっている。
父親はアル中、母は過度の神経質。本人は少年時代ジフテリアにかかり虚弱体質。祖父は牧師。

ミスコリンズは、ロバートに捨てられ気が狂い、妄想で、ロバートがイヴリンを捨ててやっと自分の所に戻り、自分は妊娠したと思う。最後は精神病院に収容される。

主人公のミスコリンズは「欲望と言う名の電車」のブランチ夫人とよく似ている。コリンズもブランチも南部のレディーでプライドが高く上品ぶっているオールドミスで精神不安定。両方とも暗い部屋が好きで明るさを嫌った。最後は医師と看護婦に精神病院に収容される。

p. 230 I’m Forever Blowing Bubblesを作者がここで使った理由は、歌詞でも分かるように夢を追い求めたミス・コリンズを象徴している。

I'm forever blowing bubbles
Pretty bubbles in the air
They fly so high, nearly reach the sky
Then like my dreams they fade and die
Fortune's always hiding
I've looked everywhere

私はシャボン玉を吹いている
きれいなシャボン玉を
高く高く天まであがって、夢は色あせ、壊れてしまう
私は幸運をあちこち探したけれど
幸運はいつもどこかに隠れてしまっている
p238
コリンズがエピスコパール教会の歴史を語っているが、全く逆のことを言わせている。
エピスコパール教会は、ヘンリー八世が1534年に創設した英国国教会の米国支部で、コリンズが言う「カソリック教会の英国支部を英国に設立した」のではない。

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