2020年10月3日土曜日

マルガリータ 村木嵐

 松本清張文学賞受賞作だけある。最後の50ページぐらいは、それまでの250ページの集大成としてすべての秘密が解き明かされるように仕掛けてある。珠が何もわからぬ女に描かれているのも意図があってのことだ。

始め150ページぐらいは何永んだか分らぬままただ筋を追って読んでいたが、後半になってうまくまとまっていく。

最後で分かる信長の策略、4人の天正遣欧少年の絆、バテレン禁止令と殉教と棄教などがかなりうまく書けている。

しかし、信長が毒を盛ったとか、千々石ミゲルがローマから、不具者ゆえに司教にさせないという話は作り話だと見え見え、加藤清正が知恵を授けるがその裏の心が描かれていない。伊奈姫がまるで欠点がないような観音様のようで、人間らしくない。天草四郎がミゲルと伊奈姫の子であるというのはでっち上げで、これも余分。

涙を流すという表現が多すぎる。

作り話だなあと言うあと味があり、リアリティがない。


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