2021年8月16日月曜日

Old Babes in the Wood Margaret Atwood

 The writer seems to be an old woman. She describes the psychology of two old women living alone near the beach. They are trying to resist to becoming old and to forgetting things. They remember what their father had done to them; they know they are old and inclined to depend on their older brother.

I myself am a 78-year-old man and therefore, I can understand what they are doing. The writer seems to be describing what I am thinking about. 

Well developed with nice conversations.


2021年8月14日土曜日

星落ちて、なお  澤田瞳子

 父、川鍋暁斎のことを怨んでいたが、結局は父を追憶することになる。とよ、こと暁翠の心情の変化を描いた。

父や兄(暁雲)とのつながりは絵を通してだけであった。兄は父の如くになろうとやせ我慢をして死に、とよも父を模範とするが無理。あまりにも偉大。

あれこれ、あれこれ事件を入れ込んで(弟子、娘、同業、出版社) 盛りだくさん書き込んで、最後はうまく収斂した。

始めはつまらなかった。途中から、兄が死に、自分の立場を意識するころから感情移入してきたか。

2021年8月10日火曜日

闇の歯車 藤沢周平

 エンタメとして最高傑作。

百両の金ほしさに徒党を組んだ五人組、うまく近江屋から六百五十両を盗むが、女中に顔を見られたことがきっかけで徒党の主、伊兵衛はお縄になり、他の三人も死んでしまう。残された主人公が裏長屋に帰ると、別れた古女房がいる。「百両などと言う金は、あれは悪夢だった」「まともに働き、小さな金をもらって暮らすんだ」

展開が分かりやすい。情景が浮かぶ。人情もの。心の内を詳しく描写している。台詞も無駄がなく、いい。

大した作家だ。



2021年6月7日月曜日

西郷札 松本清張

 明治の初め、九州で実在したが、価値がなくなった西郷札と言う紙幣を素材にした話。清張デビュー作。朝日新聞が募集した作品の中で第三位を獲得した。

話は、西南の役で活躍した村雄吾の手記に基づいて書かれているように仕掛けてある。全部フィクションだが、松本清張はうまくカムフラージュして、あたかも本当にあったかのように読者に思わせるため、ところどころ手記の原文(創作)、原文を匂わせたりしている。政府高官にまんまと詐欺にあうという詐欺事件をうまく描いている。

2021年5月20日木曜日

谷干城夫人 吉川英治

 西南戦争のとき、薩摩軍に対して熊本城に籠城した三千の官軍の谷干城将軍夫人の活躍を現わした。城兵は食糧が尽き「弾があれば敵兵を撃つか、雀を撃つか迷う」ほどになり、戦意を喪失している中、夫人は婦女を従え、空の食糧庫にはいり、溝や板の隙間や土に埋まっている粟などの穀類を掘り起こし、なんとか兵士の腹の足しにする。

腹ごしらえをした城兵はやる気を起こし、さらに数日籠城していると援軍がやってくる。

西郷軍と官軍の戦いを記載せず、もっぱら、フィクションかと思われる谷将軍夫人の功績を著したした。まともに戦いを書かず、側面を攻めた。

題材としては貧弱だが、これでも短編として成り立っているらしい。


2021年5月15日土曜日

忠助の銭 澤田瞳子

 疑問に思うところ三点

① 暴れ馬から助け出した大吉の祖父母は、忠助にお礼をしていない。なにがしの銭を払うとか、何らかの行動があってしかるべきなのに、何も触れていない。

② 最後の場面で、心中すると確信した忠助は二人の後を追うことをしなかった。普通なら、追っていくはずなのに、そうしなかった。

③ また、背におぶさった娘が忠助を見て、「銭を使ってくれ」と言っていると勝手に思ったが、不自然。銭がどこに置かれたのか、位置関係が分からない。確実に渡す思いがあれば、直接渡すはず。

2021年5月12日水曜日

The Case for and Against Love Potions by Imbolo Mbue

The Case for and Against Love Potions

Imbolo Mbue is a native of Limbe, Cameroon, and a graduate of Rutgers and Columbia Universities, Mbue lives in New York.

The writer is clever because she attracts the reader with a "love portion" as a MacGuffin. 
The writer presents two examples which use the effect of a "love portion": Wonja uses it in a wrong way and ends up with becoming mad while Gita wins her husband Ikolo by using the love portion. 
The two are well balanced. 
This is a humorous and amusing fairy-like story. 
This story seems to be meant to children, but it was  published in "New Yorker." I don't know why. The message it has is great enough to be published in a well known magazine?