2009年10月5日月曜日

太宰治「女の決闘」 (オイレンベルグ 森鴎外訳「女の決闘」)

 太宰治の「女の決闘」を読んだ。これは、オイデンベルグが書いた「女の決闘」を太宰風に書き直したものだ。 はっきり言って、太宰バージョンには失望した。全然面白くない。原作の「女の決闘」の読後印象を台無しにしてしまうものだ。いい作品を読んだ後にその映画版を見て失望するようなものだ。   だいたい、太宰版「女の決闘」には太宰の思い入れが入りすぎている。両者が決闘することになった男(芸術家)は、太宰そのもので、その心境は太宰の心境だ。太宰の心の葛藤をこれでもか、これでもかと押しつけがましく読者に押し付けている。太宰自身のオリジナルの作品を創造しないで、人の書いたものをぱくって自分の心のはけ口としている。 読者はえらい迷惑だ。オイデンベルグに対する冒涜だ。とにかく読後感の後味が悪い。2009/7/31(金)

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