2009年10月5日月曜日

佐江衆一 「動かぬが勝ち」

 油問屋の幸兵衛は、50で隠居して、香取神道流剣術を習う。腕をあげていき、60歳の還暦に富岡八幡宮奉納試合があり、初めて他流試合に臨む。その時は勝ちを急いで負ける。61歳のとき再度試合をするが、相手が女剣士で、小太刀の使い手。しかし、またもや心の動揺があり、負ける。  62歳になり、師範の三左衛門から、相手のいかなる技にも動じない、動かない剣を習得する。試合では、相手が先に動き、幸兵衛が勝つ。  「後の先」「隙」「間合い」「手の打」「青眼(正眼)の構え」など剣の技に関する用語が出てくるが、古武道杖道をやってきているおかげで、剣の動きの描写がよくわかった。  話の展開のテンポ、作り方がうまい。情景、文章、心理描写もうまい。 (2009・10・3)

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