2009年10月5日月曜日

大坪砂男 「外套」

 これといったテーマははっきりしない。 掻払いサブを通してみた寺沢の哀れな人生と、これとは対照的にあくどい古着屋と赤ら顔の男を描いたのか。   17,8の気が狂った口のきけない純真な女に惚れこんだ寺沢が少女を大事にし、脳病院で看病するが、病気で死なれ、自分も慣れない酒を飲み、「合羽川岸に水死体」になるかもしれないという話。   寺沢の不器用さ加減、悟りが悪い、人が良い、朴念仁が寺沢の身を滅ぼすよう。 戦争末期13歳だったサブが5年たったから今は、18歳。戦争末期、戦後の混乱期にはこういう掻払い、古着屋、蓄えのある防空壕などがあったのかもしれない。   あまりインパクトがない小説。ピンボケ。 主役が主役ではなく、実は、脇役が主役ということか。 大坪は戦後、寺沢のような人がいたことをどこかで聞いて、それを題材にしたのかも 発見1.  情景描写が優れている:出だし。「合羽川岸に雪雨が降るーー 灰色の空間から無限に降りそそぐ白い雨の線と、それを音もなく吸いこんでいく鉛色の川面とが、奇妙にうすら明るい午後だった。「煙にくすんだ(漢字)灰色の空に光のない太陽の昇るのを見てから、」「藍色に沈んでいく黄昏の中に立って」 発見2  古着屋のおっさんと、赤ら顔の男は同一人物だ。背が低くへへっと笑う。娘の過去と市役所のと、サブを知っている。 発見3  プロットの面白さより、描写のうまさで持っているかも   大坪砂男(おおつぼ すなお 1904年2月1日 - 1965年1月12日)は日本の探偵小説作家。筆名はE・T・A・ホフマンの「砂男」に由来。1951年に大坪沙男と改名[1]。2009/8/23 (日)

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